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各疾患について
脳血管障害
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脳動脈瘤
■病因・病態
「脳動脈瘤」は、脳の血管の一部が風船のように膨らんだ「こぶ(瘤)」ができる病気です。能動脈が枝分かれする場所に発生しやすくなっています。そして、こぶの中に血液が溜まり徐々に増大して、破裂に至ると「クモ膜下出血」を引き起こします。原因は完全には解明されていませんが、先天的な要因が疑われており、先天的に能動脈の壁が弱い方がかかりやすいと言われています。 また、「線維筋性異形成」という全身血管の病気や、「多発性嚢胞腎」と呼ばれる腎臓の病気なると、脳動脈瘤を併発しやすくなります。
■症状
「脳動脈瘤」が破裂した、いわゆる「クモ膜下出血」では、脳内に血液が溢れだすため、脳内圧亢進症状、すなわち強い頭痛や嘔吐、意識障害が発生します。
■診断・検査
MRIやCTによる検査により、脳動脈瘤を確定することができます。
■手術・治療
脳動脈瘤が破裂した「クモ膜下出血」の場合、緊急手術を行い、止血と脳動脈瘤の処置を施す必要があります。未破裂の脳動脈瘤の場合、大きさや発症部位を確認して、すぐに手術が必要かどうかを見極めます。
■予後
クモ膜下出血になった場合、死亡率は50%を超えます。命を取り留めても、20%の方はなんらかの後遺症が残るといわれています。
脳動静脈奇形
■病因・病態
脳の血管も体の他の部分と同様、通常は動脈を流れてきた血流は、毛細血管を経て静脈へ流出していきます。毛細血管ではその周囲の組織との間で、栄養となるブドウ糖や、酸素と二酸化炭素の交換が行われたりします。「動静脈奇形」(AVM)とは、先天的な原因により、脳の血管網の一部が毛細血管を通さずに、動脈(feeder)と静脈(drainer)が直接つながる(吻合する)構造をとり、脳内に異常な血管の塊り(「ナイダス」と言います)が存在している病気です。
■症状
この部分には圧の高い動脈血が直接流れ込むため、破裂して「くも膜下出血」や「脳内出血」が生じる事があります。また、通常であれば正常組織に栄養を与えるべき動脈血がナイダスに取られてしまうため、周囲の組織が血流不足となり、てんかん発作や手足の麻痺を引き起こすことがあります。脳動静脈奇形は2/3が出血、1/4がてんかん発作で発症します。出血時に多く見られる症状は、突然の激しい頭痛で、悪心・嘔吐を伴います。重症になると、意識障害を生じる事もあります。脳実質内へ出血した場合には、その大きさや部位に応じて、片麻痺・知覚障害・失語・視野障害などの神経脱落症状が出現します。
■診断・検査
CT、MRI、脳血管造影などを用いて検査を行います。脳血流を調べる検査(ラジオ・アイソトープを使用する検査)を行うこともあります。
■手術・治療

現在、脳動静脈奇形に対する治療法として、1)開頭手術、2)血管内手術、3)放射線治療(ガンマナイフ)の3つの方法が行われています。それぞれを組み合わせて治療が行われる事が多いのですが、血管内治療は手術や放射線治療を安全かつ効果的に行うための前段階の治療として、もしくは単独治療として行われます。

血管内治療では、ナイダスの直前にカテーテルを留置して、ここから塞栓物質を注入することによって、ナイダスへの血流を遮断します。この塞栓物質には、固体と液体の二種類があります。固体のものとしては、絹糸・PVA(polyvinyl alchol)粒子、金属コイルなどがあります。固体の塞栓物質はそのサイズが大きいために、塞栓物質が詰めたくない部分まで間違って入り込むこる事は少ないのですが、逆にナイダスの閉塞が不完全となり、術後ナイダスへの新たな血流が出現することがあります。このため、ナイダスの完全閉塞を目指す目的で、液体塞栓物が使用されます。液体塞栓物質はNBCA(n-ブチルシアノアクリレート)などの、接着剤のアロンアルファRと同様のシアノアクリレート系モノマーと、その他のポリマー系のものに大別されます。NBCAは血液などのイオン性物質と接触することにより固まる性質があり、目的とする血管を閉塞させることができます。欧米では既に10年以上の使用実績があり、FDA等の政府機関の正式な認可を受けて、脳血管内治療における液体塞栓物質として、最も多く利用されています。日本では塞栓物質としては臨床での使用に関して認可が下りていないため、当院においては学内倫理委員会の承認を得て、患者様の同意を得た上で、適応のある症例には用いています。シアノアクリレートは前述の様に接着性がありますので、カテーテルから注入する際は、カテーテルと血管がくっつかないように注意しなくてはなりません。また塞栓物質がナイダスを超えて流出静脈まで詰めてしまうと、出血の危険性が増す場合があるので、慎重な手技を必要とします。

■予後
脳動静脈奇形を治療せずに放置した場合には、毎年2-3%の確率で出血につながると考えられています。治療後の再出血の可能性は、現在の医学では予測困難です。長期的には再び再出血の可能性は高いと言わざるを得ません。
硬膜動静脈瘻(こうまくどうじょうみゃくろう)
■病因・病態

脳動静脈奇形に似て、動脈の血液が毛細血管を介さずに直接静脈系に流れ込んでいる病態です。脳動静脈奇形と違うのは、動脈と静脈の間にナイダスという異常な血管の塊りが無い点、脳の内部ではなく、通常は頭蓋骨と脳の間にある硬膜と言う膜の部分に出来る点です。

原因ははっきりとは分かっていませんが、外傷や局所の炎症、開頭手術などとの関連が考えられています。

■症状
圧の高い動脈血が直接静脈に流れ込むので、静脈内の圧が高くなり、頭痛や耳鳴を引き起こしたり、場合によっては脳出血などを引き起こします。発症場所が、目の奥の海綿静脈洞という部分にある時は、目が飛び出したり、充血したりという、目に関連した症状が出る事もあります。これは、症状が悪化すると、視野視力障害をきたすことがあります。
■診断・検査
MRIと血管撮影による検査によって当疾患を確定することができます。
■手術・治療
血管内手術を行う場合は、経動脈的塞栓術もしくは経静脈的塞栓術が多く行われます。
<経動脈的塞栓術>
動静脈瘻に流入している血管を、コイル、液体塞栓物質、粒状塞栓物質等でふさぎます。塞栓できる血管は、顔面の皮膚や筋肉、脳を包んでいる硬膜などを栄養している外頚動脈の枝です。それに対して、脳を栄養している内頚動脈の枝は、つめると脳梗塞を合併する危険性が高いために、通常は塞栓しません。経動脈的塞栓では、短絡している血流を減少させる事により、症状の軽減が得られることが多いですが、瘻には細かい動脈が多数入り込んでいる事が多く、その全てをつめることは困難です。また、いくつかの動脈を塞栓して、瘻を一旦ほぼ消失させても、時間が経過すると新たに瘻に流入する血管が出現することもあり、経動脈的塞栓術では動静脈瘻を完治させるのは一般的には困難で、再発の可能性があります。

<経静脈的塞栓術>
動静脈瘻がある部位が静脈洞である場合には、可能であれば、より根治的である経静脈的塞栓術が行われます。静脈側からアプローチし、瘻が存在する静脈洞にコイルを充填することにより、瘻の消失を図ります。ただし、瘻の存在する静脈洞への経路が、閉塞していたり狭くなっていたりして、カテーテルを通過させるのが困難であることが多く、経静脈的塞栓が出来ない事もあります。

なお、瘻の存在する部位によっては、開頭手術や放射線照射が行われる事もあります。また頚動脈を患者さんご自身が、1日数回、手で圧迫することによって、動静脈瘻が消失することもあります。

・治療例
治療前の右外頚動脈血管撮影(側面像:画像の右側が顔面側で左側が後頭部)。外頚動脈のいくつかの枝から海綿静脈洞へと血流が短絡しているのが認められます。矢印で示したのが、動静脈瘻と海綿静脈洞です。

経動脈的塞栓術後。動静脈瘻はほぼ消失しました。
経動脈的塞栓に用いたプラチナコイル

経動脈的塞栓術後に症状は改善し、患者さんは退院されました。しかし数カ月して眼球運動障害が再発したため、今度は経静脈的塞栓術を行いました。


経動脈的塞栓術後。動静脈瘻はほぼ消失しました。

経静脈的塞栓を行いました。瘻の存在する部位と流出静脈の起始部を重点的に、右海綿静脈洞内をプラチナコイルでパックしました。

経静脈的塞栓術後の右総頚動脈撮影(側面像)。動静脈瘻は完全に消失しました。患者さんの症状も完全に改善し、以降再発も認めません。

■予後
予後はおおむね良好です。
内頚動脈狭窄症
■病因・病態

頚動脈は、主に脳に血液を供給している動脈です。左右1本ずつあります。頚動脈はあごの下で2本に分かれ、一本は内頸動脈として脳へ、1本は外頸動脈として頭部の皮膚を栄養します。「内頸動脈狭窄症」とは、この2つに分かれる動脈の分岐部において、血管の中が狭くなり(狭窄)血液の流れがとどこおっている状態をいいます。この狭窄が高度になるにつれて将来的に脳梗塞を起こす可能性が高くなります。

すなわち、高度な狭窄のために脳への血流が低下する、または狭窄部分の不安定な血流によって作られた小さな血栓が脳の血管に詰まることなどによって脳梗塞が生じやすくなります。



狭窄の原因は、主に動脈硬化です。すなわち、高血圧や高コレステロール血症、糖尿病などが原因となり、頸動脈の膜のなかに、コレステロール、繊維、カルシウム、微小な出血の固まりが少しずつたまっていき、膜の厚みがましていって、頚動脈を細くしていきます。
■症状
少しずつ膜の厚みが増していくため、軽度であれば、ほとんど症状を呈することはありません(無症候性)。ただし、頚動脈の超音波検査などを行うと、膜の厚みが増していることが詳細に判断できます。頚動脈の狭窄の状態は、「狭窄度」(どの位せまいか?)によって評価しています。また狭窄度が高いと、次のような症状につながる可能性があります(症候性)。なお、「脳梗塞」は、血管が狭窄をして、脳に血液がいかなくなることよりも、狭窄している部分に小さな血液の固まり(血栓)が生じて、それが脳の血管に詰まることによる症状が多いと考えられています。
<脳梗塞>
脳梗塞には様々な症状があります。主に麻痺、失語です。狭窄している動脈と反対側の手足に、麻痺が生じます。初期には体が傾く、手足の力が入りにくいなどの症状のため気づかないことがあります。また、症状が手足の両方にでることが特徴です。
失語は言葉が出ない状態を指します。これは左の内頸動脈狭窄症の場合に特徴的です。そのほか脳梗塞の症状として手足のしびれ、言葉のもつれ(構音障害)があります。これらが一過性(一時的)に出現することを一過性能虚血発作と呼びます。

<視野異常
(一過性黒内障)>
飛蚊症とは少し違いますが、一過性脳虚血発作に似た一過性黒内障と言うものにも注意が必要です。一過性黒内障とは、片側の目の視力障害が急速に起こって、普通10分以内で回復するものを言います。視力障害とは、例えば、片側の視野の一部もしくは全部に「急に影が見えるような感じがした」、「急にカーテンを引いたように暗くなった」と言うようなものです。この一過性黒内障は、頚動脈に動脈硬化によって起こった挟窄があって、この頚動脈が詰まりかけている場合によく起こります。つまり頚動脈の挟窄部に出来た小さな塞栓(小さな血液の塊)がはがれて、目の網膜へ行く動脈の方に時々流れて行って、その血管の血液の流れが一時的に途絶えて起こると考えられています。

■手術・治療
手術の目的は、脳梗塞の予防です。将来的に、頚動脈の狭窄している部分が原因となり、脳梗塞起こさないように手術することが目的です。
手術としては、動脈を切開して血管の中の動脈硬化の部分をきれいに剥離してくる「内頸動脈内膜剥離術(CEA)」と血管の中から金属の筒を内張りのように留置して、押し広げる「頚動脈ステント留置術(CAS)」の両者があります。
治療の方法は「無症候」「症候性」「狭窄度」によって変わってきます。また海外等の研究報告から、内膜剥離術(CEA)を施行した場合の科学的根拠(エビデンス)、ステント留置術(CAS)を施行した場合のエビデンスも報告されています。
<頸部内頸動脈内
膜剥離術(CEA)>
皮膚を切開して頚動脈を露出します。総頸動脈、外頸動脈、内頸動脈にそれぞれ遮断を行った後に動脈に切開を加えます

その後、動脈硬化部分(プラーク)を削いでいきます。

<頚動脈ステント留置術
(CAS)>

ステント留置術は、比較的新しい治療方法です。最大のメリットは、皮膚を切開せずに治療できるという点です。いくつかの合併疾患によってCEAが難しい症例に対しては、CEAとほぼ同等の治療成績を得られています。

ステント留置術の治療は次のように行われます。

カテーテルを大腿動脈から頚動脈まで進めます。動脈硬化のかす(デブリス)がはがれて、脳の血管につまらないように遠位塞栓予防デバイス(Distal protection device; DPE)を使用します。まず狭窄部位をこの遠位塞栓予防デバイスを通過させます。その後バルーン(風船)を拡張させて、血流を一時遮断します。狭窄部をわずかに拡張させたあとにステントが入ったカテーテルを誘導していきます。現在使用されているものは、自己拡張型ステント(右図)といって、さやを引くことにより自然に拡張する仕組みになっています。その後さらにバルーンでステントを血管の壁に密着させます。その後に遠位塞栓バルーンの下方に吸引カテーテルを用いてデブリスがたまっている血液を吸引除去し、血流遮断を解除し、血流を再開し手技を終了します。



■予後
予後は、症候性の場合と無症候性の場合で異なります。
以下に、薬物治療と内膜剥離術における、脳梗塞発症率の違いを検証した結果を示します。
<症候性の場合>

(過去に、頚動脈が狭窄している側と同側の脳梗塞(一過性の場合も含む)を発症したことがある場合)

70%以上の狭窄の場合(2年間の観察期間)
  薬物治療 内膜剥離術 相対的危険減少率
脳梗塞の発症率 26% 9% 65%

50%から69%の狭窄の場合(5年間の観察期間)
  薬物治療 内膜剥離術 相対的危険減少率
脳梗塞の発症率 22% 15.7% 29%

<無症候性の場合>
60%以上の狭窄の場合(5年間の観察期間)(文献3)
  薬物治療 内膜剥離術 相対的危険減少率
脳梗塞の発症率 11% 5.1% 29%

以上のようにある程度、50%以上の狭窄がある場合に、外科的な手術の優位性が確立されています。
一方ステント留置術ですが、これは、比較的新しい治療方法です。しかしながら、最大のメリットとして、皮膚を切開せずに治療できる、という点です。いくつかの合併疾患によってCEAが難しい症例に対しては、CEAとほぼ同等の治療成績を得られています。(参考文献)

急性虚血性脳血管障害(脳梗塞)
■病因・病態

脳血管障害は、脳内の血管が破れたり、あるいは詰まることによって発症する病気です。血管が破れて出血することによる疾患は出血性、血管が詰まるものを閉塞性と呼びます。出血性の疾患には、脳出血、くも膜下出血などがあり、閉塞性の疾患として、脳血栓、脳梗塞などがあります。うち、閉塞性の疾患は、血管が詰まることで、脳神経細胞に酸素が十分に供給されなくなることから「虚血性」の脳血管障害と呼びます。

厚生労働省が毎年行っている「人口動態統計」の平成16年のデータによると、日本人の12.5%は脳血管疾患(脳出血や脳梗塞など)で亡くなっており、日本人の病気による死因の第3位にあたります。特に、脳血管疾患のうちの約6割は脳の血管が詰まることで生じる疾患である「脳梗塞」が占めます。

■症状

脳卒中になったとき、ほとんど場合、患者さん本人が自分で症状をまわりの人たちに伝えて適切な処置を行ってもらうように行動することは困難です。それは、以下に述べるような脳卒中の症状によるからです。

脳卒中の典型的な症状としては、以下のような症状が挙げられます。

  • ・急に手足が動かなくなった。
  • ・急に話すのが上手くできなくなった。
  • ・急に意識が悪くなった。

以上の様な症状が出現した時、患者さん本人が的確に自分の症状を周りの人に伝えることが困難になることは容易に想像がつくと思います。そこで重要なのが、その「患者さんのまわりにいるあなた」です。まず大切なことは、「脳卒中ではないか?」と疑うことです。そして、時間をロスすることなくすぐに救急車をよび、緊急の対応をしてもらえる医療機関を受診させることをなによりも優先してください。後述する脳梗塞の治療薬であるt-PAは、脳梗塞が発症してから3時間以内に投与しないと効果がないばかりか、非常に重篤な合併症である脳内出血を来してしまう可能性があるからです。

■診断・検査
CT、MRI、脳血管造影などを用いて検査を行います。脳血流を調べる検査(ラジオ・アイソトープを使用する検査)を行うこともあります。
■手術・治療

平成17年10月より、急性期脳梗塞の治療薬である組織プラスミノーゲンアクチベーター(以下t-PA)の静脈内投与が正式に認可されました。すでに欧米では、1990年代の後半より使用されており、その効果が認められています。

脳梗塞、いわゆる急性期の脳血栓症の特効薬ともいえるお薬でありますが、使用に際しては迅速かつ正確な診断が必要で、慎重に投与することが要求されます。

t-PAは、発症後3時間以内に投与されれば良いという訳ではありません。「この患者さんに使って良いかどうか」を的確に判断する必要があります。それまでには、諸検査も含めて少なくとも1時間の猶予が欲しいのです。実際には発症後2時間以内に病院に到着していることが望ましいのです。

平成17年10月にt-PAの日本国内での使用が承認されてから、日本脳卒中学会が主催する適切な使用に関する講習会が開催されています。t-PAを使用する医療従事者は、原則的に受講することを要求されています。後で述べる虚血性脳血管障害の診断の項目でも触れていますが、要約すると以下の通りです。

●すべてが満たされていなくてはならない項目(必須事項)
  • 発症時刻がはっきりしていること(発見時刻ではない)
  • 治療の開始が発症後3時間以内であること
  • 症状の急速な改善が無いこと
  • 軽症(失調、感覚障害、構音障害、軽度の麻痺のみを呈する)ではないこと

急速な改善例、軽症例では、t-PAの投与に伴うリスクを効果が上回るかどうか、十分に考慮する必要がります。

●すべてが除外されていないといけない項目(t-PA禁忌例)
  • 頭蓋内出血の既往
  • 3ヶ月以内の脳梗塞(一過性虚血発作以外)
  • 3ヶ月以内の脊髄・脳外傷あるいは手術
  • 21日以内の消化管、尿路出血
  • 14日以内の大手術・頭部以外の外傷
  • アルテプラーゼ(t-PA)過敏症

特に、最近の脳梗塞は出血のリスクがあります。

  • 痙攣(症候性てんかんとの鑑別が困難)
  • クモ膜下出血の疑い
  • 出血の合併脳腫瘍、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病
  • 血圧高値(収縮期185mmHg以上、拡張期110mmHg以上)
    血圧に関しては、適切な降圧療法を施行しても、目標値を維持できない場合
  • 血糖値異常(50mg/dl以下、400mg/dl以上)
  • 血小板数(10万/mm3 以下)
  • ワーファリン内服中→PT-INR 1.7以上
  • ヘパリン投与中→APTTの延長(前値の1.5倍以上または正常範囲を越える)
  • 重篤な肝障害
  • 急性膵炎
  • 広範囲におよぶ early CT signを認める。
     (基底核構造の不鮮明化、皮質髄質境界の不鮮明化)
  • CTまたはMRIでの正中構造の偏位を認める。
  • 頭部CTで、脳出血の除外診断をする。

以上の内容は、平成17年11月に東京にて行われたrt-PA(アルテプラーゼ)静注療法実施講習会の際に用いられたテキストから抜粋させていただきました。

また、日本脳卒中学会のホームページから、rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針のPDFファイルがダウンロード出来ます。

http://www.jsts.gr.jp/jss19.html

脳梗塞の急性期治療は、いち早く診断し、薬剤を適切に使用することが最も重要です。また、残念なことに脳出血等の合併症が生じた場合においても、緊急開頭血腫除去手術等の体制がとれる施設で治療が行われることが望ましいとされております。

■予後
脳梗塞は、発症後の後遺症により介護を余儀なくされる場合も少なくありません。また、発症後すぐに治療を開始する必要があり、治療が遅れてしまうと治療効果が上がらないばかりか、重篤な後遺症や合併症を生じる可能性が高くなります。そのため、「脳梗塞かもしれない」と疑ったらすぐに患者さんを病院に連れて行くこと、特に脳卒中の治療が十分に行える病院に連れて行くことが極めて重要になります。


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