佐々木雄一講師の原著論文がJournal of Cerebral Blood Flow & Metabolismに掲載されました。
この研究は加齢が脳血流回復に及ぼす影響に関する研究で、加齢や生活習慣病は、虚血性脳卒中の重要な危険因子として知られています。その背景には、血管の柔軟性や再構築能力の低下が関与していると考えられていますが、脳における血流回復機構への影響については、いまだ十分に解明されていません。
本研究では、マウスを用いた右総頸動脈閉塞モデルを用い、加齢および食事誘導性肥満が、脳の側副血行路(コラテラル)の発達と脳血流回復能に与える影響を検討しました。若齢・中年・高齢の各年齢群および高脂肪食群を比較し、血管径の変化や脳血流の回復、さらに血流予備能について評価を行いました。
その結果、若齢マウスでは血管の拡張や再構築(動脈新生)が顕著に認められ、閉塞後の脳血流は時間の経過とともにほぼ完全に回復しました。一方で、加齢に伴いこの血管再構築能は段階的に低下し、中年群では部分的な回復、高齢群ではほとんど回復が認められませんでした。また、血圧低下時などに血流を維持する「脳血流予備能」も、加齢とともに低下することが明らかとなりました。なお、食事誘導性肥満の影響は比較的軽度にとどまりました。
これらの結果から、加齢に伴う側副血行路形成能の低下が、脳虚血後の血流回復不全の重要な要因であることが示唆されました。本研究は、加齢に伴う脳血管機能低下の理解を深めるとともに、将来的な脳卒中治療戦略の構築に寄与することが期待されます。