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舌咽神経痛

舌咽神経痛

喉の奥や舌の付け根、耳の奥にかけて、突然ズキンと鋭い痛みが走る――このような症状がある場合、「舌咽神経痛(ぜついんしんけいつう)」の可能性があります。痛みは数秒から数十秒続き、特に「飲み込む」「話す」「あくびをする」といった動作で誘発されることが多く、日常生活に大きな支障をきたします。

舌咽神経痛とは

舌咽神経痛は、ものを飲み込んだときや話すとき、喉の奥から耳にかけて「電気が走るような鋭い痛み」が突然出現する、非常にまれな神経痛です。あまりの痛みに食事や会話が困難になることもあります。しかし、この疾患は稀であるため、正確に診断できる医師が少なく、脳外科専門医であっても実際の症例を経験したことがない場合も少なくありません。

原因

顔の深部にある「舌咽神経」は、喉の奥や舌の付け根、耳周囲の感覚をつかさどる神経です。この神経に、近くを走る血管が物理的に接触・圧迫することで、激しい痛みが生じます。なお、声帯を支配する迷走神経が刺激されることで、まれに脈の乱れや失神などが起こることもあります。

治療法

治療法
● 微小血管減圧術(手術治療)
耳の後ろから小さな切開を行い、舌咽神経に当たっている血管を丁寧に剥離し、神経から離すことで、痛みの原因を根本から取り除きます。多くの場合、手術直後から痛みの消失が期待でき、合併症がなければ術後1週間程度で退院可能です。
● 薬物療法
カルバマゼピンやリリカ、タリージェなどの神経痛治療薬で痛みをコントロールする方法があります。ただし、これらの薬には眠気やふらつきなどの副作用があり、重篤な副反応(スティーブンス・ジョンソン症候群)にも注意が必要です。妊娠を考えている方には適さない場合があります。

その他の治療
現時点で、放射線治療や高周波熱凝固法などの代替療法における有効な報告はなく、確立された治療法とは言えません。根本的な治療を目指す場合は、やはり手術が第一選択となります。

原因不明の喉や耳の痛みに悩んでいる方は、ぜひ一度、神経痛に詳しい専門医の診察を受けてみてください。早期の診断と適切な治療が、生活の質の回復につながります。


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