特色ある治療

大孔減圧術

大孔減圧術

キアリ奇形とは

キアリ奇形(Chiari Malformation)は、脳の一部である小脳や脳幹が、本来収まっている頭蓋骨の後ろ側(後頭蓋窩)から脊髄の方向へ押し出されてしまう先天性の病気です。この状態により、脳脊髄液の流れが滞り、様々な症状を引き起こすことがあります。

キアリ奇形の種類

キアリI型奇形
・小脳扁桃と呼ばれる部分が脊髄の管(脊柱管)内に下がりこむタイプ。比較的軽症のことも多く、成人になってから発見されることもあります。
キアリII型奇形
小脳の広い部分と脳幹が下がり込み、通常は**脊髄髄膜瘤(せきずいずいまくりゅう)**という先天異常を伴います。

その他にも、III型、IV型と分類がありますが非常に稀です。

主な症状

症状は人によってさまざまですが、代表的なものを挙げます。

・頭痛(特にうがい・咳・くしゃみの際に後頭部や首の付け根が痛む)
・首・肩・背中の痛み
・手足のしびれ・脱力
・めまい・ふらつき
・嚥下障害(飲み込みづらさ)
・視力障害や耳鳴り
・脊髄空洞症(せきずいくうどうしょう)を併発することもあります

診断方法

症状や神経学的診察をもとに、MRI検査で脳と脊髄の状態を確認します。特に小脳扁桃の位置や脳脊髄液の流れをチェックし、空洞症の有無も合わせて診断します。

800件を超える世界有数の治療経験

手術前

手術後(脊髄空洞症が速やかに改善しました)

手術後の頭部CT画像

大孔部減圧術はキアリ1型奇形などの頭蓋頚椎移行部の髄液流通障害を解除する目的で行います。
今までに800件を超える治療経験があり、これは世界でも有数の治療件数です。 
傷は5cm程度で、うなじの髪の生え際に収まる程度で行います。後頭骨を約3cm×3cmで削り、第1頚椎も約3cm程度の幅で切除します。脳と脊椎を包む硬膜を一度切開し、人工硬膜を当てて縫合すること(硬膜形成)で脳と脊髄の狭くなっていたスペースを広げます。これにより脳脊髄液の流れを改善させます。小脳扁桃の下垂が高度で、硬膜形成だけでは十分にスペースを広げることができない場合は、小脳扁桃の一部を焼き縮めたり切除したりすることもあります。術後に脊髄空洞症の再発を認める場合は、脳脊髄液の交通を確保するために交通路にチューブを留置することも検討します。


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