特色ある治療

覚醒下手術

覚醒下手術

脳腫瘍の手術では、患者さんの脳の機能を温存しつつ、腫瘍をできるだけたくさん摘出することが極めて重要です。しかしながら、手術中は全身麻酔がかかっており、実際に患者さんの手足が動かなくなったり、言葉が話せなくなっていないかを知る術はありません。
そこで当院では、2020年2月より覚醒下手術を導入し、手術中に患者さんを麻酔から覚まして、運動や言語の機能等を確認しながら腫瘍を摘出することが可能になりました。2023年には日本Awake Surgery学会の認定施設となり、現在では脳内腫瘍の摘出術の約40%に覚醒下手術を行っています。

覚醒下手術の適応

当院では、グリオーマ(神経膠腫)や海綿状血管腫など、脳の中にできる腫瘍と診断された患者さんで以下に該当する方には、外来で覚醒下手術と全身麻酔による手術のメリット、デメリットについてご説明し、ご希望された場合に行うこととしています。
・病変部またはその周囲に大事な脳機能があることが予想される方
 術中に評価が可能な機能が温存できる見込みがある患者さんが対象となります。MRI、トラクトグラフィーなどの画像や、患者さんの症状など、個々の状況より主治医が適応の可否を判断します。

痙攣発作がコントロールできている方

脳腫瘍があるために痙攣発作を起こす患者さんの場合、覚醒下手術中に痙攣を起こすリスクが高くなるため、術前に抗てんかん薬の調整などを行います。

 手術中に起きることを想像するだけで怖いと感じることは当然のことです。そのため、手術までに脳神経外科医、麻酔科医、看護師、リハビリテーション科スタッフなどと良好なコミュニケーションを築くことで、手術当日までに不安を軽減していきます。

 以下は、言語機能の近くの脳腫瘍の覚醒下手術を行った患者さんの画像です。腫瘍を摘出する前に、脳の一部を電気刺激することで擬似的に機能を低下させる「マッピング」を行います。脳に異常な電気が流れると痙攣発作を起こすことがあるため、脳の電気信号の波(脳波)で監視しながら安全にマッピングを行います。このマッピングによって、目的の場所に重要な脳の機能があるかないかを確認できるため、これらの機能を温存しながら摘出を進めることができます。

覚醒下手術は、麻酔科やリハビリテーション科、看護師部や臨床工学部など、多くの部署が連携し、阿吽の呼吸で手術を進めることが重要であるため、難易度の高い手術と言われています。特に、手術中に目が覚めても痛くないように鎮痛薬を投与したり、手術中に患者さんが不安にならないような様々な配慮がなされることで、患者さんとともに手術を成功に導いていく必要があります。つまり、患者さんもチームの一員として治療に参加していただくこととなります。
 

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